桐生あんずです

日常やプログラミングについて書いています。

桐生あんず本人による桐生あんずファンブック感想記事

はじめに

桐生あんずです。 2023年12月に世に放たれた同人誌「桐生あんずファンブック」についての感想記事です。

booth.pm

sakahukamaki.hatenablog.jp

まず謝罪から入るのですが、先月頃「明日に出します」とサクッと書くノリのツイートしてから約1ヶ月が経過していました。気になっていた方がいたらすみませんでした……。

というのも、さまざまな方面からの情報が詰め込まれた同人誌であり「ここを紹介するならここもちゃんと丁寧に伝えたい」といった感じで書きたいことが広がっていく本であり、自分が満足する感想を書くのに労力がいる本でした。そしてある程度のやる気が出ないと書けない状態に至る……。
その中で世に出てしばらく経っても嬉しいフィードバックを度々見かけたり、先日は友人を連れて実家に行き両親にこの本を贈呈するといったイベントもあったりで、そろそろ世に出さねば……という意欲が高まったので記事を出すことにしました。

紹介の仕方

この本では目次が設定されており、以下のようなラインナップとなっております。執筆者ごとのパートにスポットを当てつつ、目次ごとに紹介する形式となっています。 基本的には読後済みの方向けの感想記事となりますが、極度のネタバレ(?)になりそうな話題は省略しています。未読の方も雰囲気で感じ取りつつ楽しんでいただけると幸いです。

「はじめに」

友人の炬燵ちゃんによる「序文」と桐生あんず本人による「巻頭言」の構成です。
これは感想というか制作裏話なんですが、巻頭言を書く時に「この本の背景説明とかどこからどこまですればいいんだ……?」と唸っていました。そこで、炬燵ちゃんの文章を先に読ませてもらうとそこに一通りの背景説明が過不足なく載っていました。この文章があればもう自分は好きなことだけ書いたらいいなと納得し、シュッと巻頭言を書くことができました。書いた時点では桐生あんずファンブックの文章はほぼ未見でしたが、一応この本の体裁を表した文章にはなっていたんじゃないかと思っています。

「概念としての桐生あんず」

paina さんによる「オブジェクトのメモリ構造とリフレクションに関する考察」と Windymelt さんによる「金平糖の妖精」です。
お二人ともここから桐生あんずが出てくるのか!? となるようなタイトルの付け方なんですが、なんとも美しいタイトルでセンスの良さを感じられます。

paina さんとはコミケ活動を通じて長らく交流のあるお方なのですが、今回の文章では休職日記についての感想を大変丁寧に述べてくださって嬉しかったです。
上記の本について「なんとなくべったりと押しつぶされた印象の日々の記録」と表現されているのが、自分がこの本で意識していたイメージそのものだったので伝わっていたのが嬉しい。

Windymelt さんのパートでは桐生あんずが京都にいた頃の関わりの記録について触れられており、当時の視点を知れるのがなんだか新鮮かつ懐かしい。文章中の「アワアワビリティ」という言葉が関係者たちに気に入られてますね。
タイトルの「金平糖の妖精」も最初はどういう意味だろう?となりながら読み進めていたのですが、自分としては大変嬉しく感じる表現として使われておりなんとも言語センスが良い……となりました。またコミュニティの場で会えるのを楽しみにしています。

Rubyistセンパイ座談会」

対談パート1本目ですね。
この会の座談会メンバーはRuby コミュニティで大変お世話になっている tdakak さん、bash0C7 さん、 角谷信太郎さん、炬燵ちゃん(聞き手)です。

優しい大人の方達が桐生あんずについて暖かく見守ってくださっている話がメインなのですが、突然本人抜きの評価面談みたいな会話も出てきて時々ドキッとします。*1自分があまり自覚してなかった部分についての言及もあり、こういう見守られ方をしているんだなあという視点が新たに拓けた会話で大変興味深かったです。

これは今思い出した話なんですが、この本の元祖(?)である「うなすけファンブック」ではうなすけさん本人も対談に参加している形式だったので、自分も呼ばれるのかなーと思ったら基本自分抜きで自分の話をするスタイルでやる感じだったらしくなるほどとなりました。しかしこれはこれで面白い話が色々聞けてよかったなーとなってます。*2
企画者から「どういう人たちに話してほしいー?」と話があり、寄稿希望者の一覧を見て「この人とこの人を繋ぎ合わせておくと面白そうだな……」とパッと思いついた人たちを伝えたら3組の座談会が組まれていました。文字起こし含めると制作時間が結構かかっているパートですごいなと思います。

「オタクとしての桐生あんず」

サキさんによる「オタクとしての桐生あんず」、utgwkk さんによる「女先生(ブルーアーカイブ)」です。

サキさんは初めて参加した RubyKaigi2017 でお話しをしてそこでプリティーシリーズの話で大盛り上がりしてずっと縁が続いています。まだエンジニアコミュニティ関わりたての時にお話をさせてもらって「ここでもプリティーリズムやプリパラの話ができるんだ!!」と大変テンションが上がっていました。その時のことを思い出す話を書いてくださっていて大変嬉しいです。

utgwkk さんのパートではブルーアーカイブという最近推してるゲームの二次創作についての情報がたくさん掲載されています。しかしまだ読めておらず申し訳ない。この記事が書き終わったら読もう……。あと、最近のイベストでヒナが可愛すぎたのでASMR音声を買おうか悩んでいます。
桐生あんずファンブックが制作初期段階のタイミングで「桐生あんずそっちのけでいいから好きなことを書いてほしい」とぼやいていたのですが、その願望を utgwkk さんも叶えてくれて大変感謝です。

「大学生だった頃の桐生あんず」

つっきーさんによる「桐生あんずとラー研と時々私」、ホリィ・センさんによる「『京都の大学生』の象徴としての桐生あんずについて」、片山さんの「桐生あんずと働いた日々」です。

個人的にはこのパートの寄稿者全員が桐生あんずの大学時代のルーツを作り上げた方といってもおかしくないのでかなりドキドキしながらページを開いていました。

つっきーさんのパートでは私が当時入っていた「ラーメン研究会」での思い出が主に語られています。自分の大学生らしい人間関係はここがスタート地点だったと思うので、その場を作ってくれたつっきーさんは本当にありがたい存在です。
10年前に起きたあの事件についてもちゃんと言及されていてこの本でのノリが分かられている……となりました。*3

ホリィ・センさんによる記事では桐生あんずの大学時代での行動から今のエンジニアの職業に就くまでの流れに対して丁寧に分析してくださっています。会誌でホリィ・センの文章を見ることは多々あったのですが私に関する文章をここまで丁寧に書いてくれたのがなんだか新鮮で嬉しかったです。
各所で度々書いていますが、ホリィ・センが作ってくれたサークルクラッシュ同好会によってさまざまな縁がもたらされて今があると思います。(このファンブックの中でも度々サークラ同好会の話題が登場します)

最後に片山さんの記事では、坂ノ途中でのアルバイト時代についての思い出を語ってくださっています。当時のことを思い返すと自分は目を覆うような所業を度々やっていた記憶がありこんなに優しい文章を書いてくださったことに恐れ多い気持ちです……。
当時のさまざまなコミュニティに出入りしていた頃の話を片山さんに楽しく聞いてくださってもらっていたのなら幸いです。
最後の「複雑なものを複雑なままで扱うこと」のくだりはしばらく頭から離れそうにないぐらい素敵なお話でした。

(これは自分の感想ではないのですが、両親は片山さんの大ファンなのでファンブックを渡した時真っ先に片山さんの記事を読んでいました。坂ノ途中の定期便のリーフレットに毎回登場する片山さんの文章も大変気に入っているようです。)

Rubyistワカモノ組対談」

対談パート2本目! この会の座談会メンバーもRuby コミュニティで大変お世話になっている Pasta-K さん、うなすけさん、 魔王さん、ima1zumi さん、炬燵ちゃん(聞き手)です。

座談会メンバーの指定については、最初は Pasta-K さんを抜いた3人のみだったのですがこのメンツだったら Pasta-K さんもいてくれると面白そうだなあと後から思い始めて炬燵ちゃんに後からお願いして4人になりました。

割と共通点が多そうだけれど話した回数は実はまだ少ないというメンツだったようで、よく読んでみるとじわじわと距離を詰めていく会話になっていたのが面白かったです。ちょっと曖昧だけど楽しそうな空気感がツボな対談でした。手応えを気にしているのがみんな真面目でえらい。
ぜひ次回(?)は本人ありのバージョンでやってみたいです。京都とか長野で収録してみるの面白そうですね。

「混沌の象徴としての桐生あんず」

「桐生あんずへひとこと」

かわかみさん、かねこさん、sylph01 さん、相生ゆらさんによるパートです。 まず、一言コーナーも用意されているのが企画者のホスピタリティを感じてすごいなと思いました。制作中に2人ぐらいリアルタイムで増えていたのも声かけ力がすごい。

この中でコミュニティで知り合った順だと sylph01 さんが 初参加時のRubyKaigi2017 で、かねこさんは時期が不明なのですが去年から一気に話題の人となり、ゆらちゃんは 2022年の三重(個人的には2023年の松本でプリティーリズムトークした印象が強い!)、かわかみさんが 2023年の松本の時にヘルパーでご一緒された縁でした。

今まで参加してきた RubyKaigi でずっと楽しく見守ってくださっている方もいれば、去年から一気に距離が縮んでご飯に行ったり、本に興味を持ってくださって料理を実践してくださった方もいてなんだか面白い縁だな……となっています。
今回寄稿してくれたかねこさんは今回桐生あんずファンブックと休職日記2 を求めてコミケに初めて一般参加してくださったそうです。そういう行動力を一気に引き出すのって実は結構難しいことだなと思っていて、すごいなあと思うし嬉しかったです。

「探訪、null のアタマの中の桐生あんず」 & 「あんずちゃんが老後まで安心して推せるアイドルである4つの理由」

前者は yancya さん & null さんによる対談記事、後者はにゃみとらさんによるエッセイ記事です。

まずは前者についての話なんですが、とにかく面白いんですけどどこまで言及していいかは謎です。しかし最後のオチ含めてめっちゃいいんですよ、詳しくは言えないんですが……。
最後のオチ以外の話題だと、全体的に話題の切れ味が良すぎてにこにこしていました。特に「化石燃料」のくだりがとにかく好きです。しかしやはり最後の話題を再演してもらいたくどこかの機会でまたお会いしたいです。(割と本気なので、yancya さんも交えてまた連絡させていただきます……!)

後者のにゃみとらさんの記事も前者とは別の方面で力の入った内容になっています。文章を読んで「自分にこんな魅力があるのか……!?」と照れ恥ずかしい気持ちもありますが、ここまで自分のことを応援してくださる方がいるのは本当に嬉しいです。
私から見たにゃみとらさんは本当に素敵で楽しい方だなあとずっと感じています。今後も仲良くさせていただけると大変嬉しいです。また、巻末のプロフィール帳はにゃみとらさん考案です。プロフィール帳を書くの久しぶりすぎて面白いことを書けた自信がないのですが、楽しんでもらえてたらいいな……。

「保護者座談会」

座談会ラストの回です。この回はさまざまな場でお世話になっているらいむさん、そらは、nyancoさん、炬燵ちゃんの保護者会メンツ(自分でいうのもあれな感じがある)と桐生あんず本人でお送りしています。この記事が一番文量がすごかった模様です。
自分が参加している回ということで収録当時の様子も覚えているのですが、楽しかった思い出と合わせて当時の自分のやらかしを延々と振り返っていてこんなに話せることあったんだな……となりました。具体的なエピソードについては本文の方でぜひお楽しみください。

両親もこの回を読んだのですが、父親からは「要は楽屋オチの世界だよね」と謎の分析コメントをされ、母親は座談会の会話を最初から読み上げようとしてきたので即座に止めました。

デザインについて

表紙イラストは becolomochi さん、表紙デザイン/版面デザインは kewpie さんに作成していただきました。このお二人にデザインしていただいたことに感無量の気持ちでいっぱいです。

becolomochi さんは igaiga さんの「RubyRails の学習ガイド」シリーズ・「Railsの教科書」のイラストも担当されており、ほんわかとした絵柄がなんとも可愛らしくぜひ表紙を描いていただいてほしい……!となり今回お願いしました。突然のお願いに対して丁寧に対応してくださりとてもありがたかったです。
制作時にはブルアカの杏山カズサについて説明する時に「輪っかもお願いします」と伝えたところ、ノリノリで描いてくださったのが良き思い出です。また、京急のデフォルメイラストを依頼する時にモデルとなる電車の写真と合わせて「いがさんの本に出てくる子たちっぽいイラストでお願いします」と伝えたところ一発で想像していた絵柄の子を生み出してくださりテンションが爆上がりでした。

kewpie さんとは、2017年のコミュニティ関わりたての頃から縁が生まれ、当時自分がオーガナイザーをした RailsGirls Kyoto9th のロゴも制作していただきました。その過程を含めてこの7年間お互い色んな出来事を経て、こうやって同じ本に関われたことがとにかく嬉しかったです。桐生あんずファンブックの制作が持ち上がった時に kewpie さんが関わってくれる話を聞いた時にちょっと涙が出そうになるくらいでした。
版面に関しては Slackやターミナルの画面をモチーフにしたデザインを意識されてるとのことで、炬燵ちゃんから教えられた時に「そんな観点を生み出してデザインできるのかっこよすぎる……」とオタクの感情になっていました。

まとめ・「桐生あんず」概念について

これでパートごとの感想が書けたはず……? 感想を書いてみて、どの記事も個性的でなんともすごい本だったなとなってます。 最後に本の全体を通して思ったことを書いて終わろうと思います。

まずはとにかく自分のことについて書かれていて面白い〜となる本でした。こんな本ができる日がくるとは……。 今回一番印象的だったのは、他者による自分への印象についてが繰り返し述べられていたことでした。一番多かったのは「俯瞰の人」という扱いだったように思います。実はそんなに意図的にやってるわけではないのですが客観視で物事を語りがちのようです。これは小4くらいから久米田康治作品が好きなことが影響してる気もするのですが、その話はまた別で書きます。

また、この本を読み返していくほどに他者による「桐生あんず」についての印象がどのようなものがあるかを意識しました。メタ認知の加速を感じる……。
もっと具体的に言うと今までの自分はこういう人間をやっていたんだなという認知の加速です。それはそれで楽しくやってきているけれど、ある程度の分かりが見えてきたことで今までやってきたような行動パターン以外にもチャレンジしたいなと感じるようになりました。
具体的に何をやれるかはまだ考え中ですが、多動的な行動を控えて何かに注力するとかはありな気がしてます。今のところは、特定の技術や仕事に関するアウトプットもできるようになりたい意欲があり初めて技術同人誌を作ってみようと画策するなどしています。*4
意趣返しというわけではないけれど、この認知をもとにして意図的に「桐生あんず」らしくない行動を今後取ってみるのも面白そうだなと今年の序盤はずっと考えていました。 そのように自己の振り返りとして活用できる本でもありました。

といった感じで、桐生あんず本人的にはとにかく情報量の詰まった同人誌「桐生あんずファンブック」でした。企画者の炬燵ちゃんをはじめ、寄稿していただいた皆様本当にありがとうございました。

まだ読んでない方や買ったけど読んでない方、読後済みの方もぜひこの記事とともに読んでみてもらえたら嬉しいです。

booth.pm

*1:悪い意味ではないです

*2:最後の「保護者組座談会」だけは例外で私も参加してます

*3:詳しくは本書のP47を参照ください

*4:しかし相変わらず同人誌を作っているのでそこまでの変化ではない気がする