先ほどコミケに参加した記事を書いた時に、「『自分が生み出した情報』を紙の本として売ることと電子データで売ることの違いってそもそも何があるんだろうか」とぼんやり考えていて、細かく言語化できなくてモヤモヤしていた。
それでもなんとなくTwitterの方で良いから言語化したいなーと思ったところ、以下のようなツイートとして吐き出された。
コミケ、情報を売るというよりその時の体験と本を売り買いする場だなあと参加する度に思うようになってきてて、電子データ経由で有料の情報を売る体験とはまた何か大きな隔たりがあるように感じる
— 桐生あんず (@anzu_mmm) August 11, 2019
IT的な事が更に好きになってから、より即物的になってしまったのか「物体としての本」より「情報そのもの」に対して強く価値を感じている部分があって、そう思うと紙の本はその手段に過ぎないのではと考える時がある。それでも電子書籍で良い作品を読むと本として手元に置きたくなるし複雑だなあとなる
— 桐生あんず (@anzu_mmm) August 11, 2019
何が言いたいかというと、コミケ*1の場合、「情報そのもの」を売るための場というよりかは「情報を含めた体験(コミュニケーション)」を紙媒体の物体を経由して売り買いしている場のように感じられることが年々増えている。
どこかでその状態を「承認を金で買っている」と表現している話を見たことがあるのだけれど、さすがにそこまでくすぶった状態として見ることは私はできなくて、自分が作ったモノを形にして、それを売って人に読んでもらったりこちらが買う場になるのはやっぱり楽しいとイベントに参加する度に思う。
それでも、数年前よりITの世界にのめり込むようになり、価値観が変わりつつあるのか、もしイベントで紙媒体のみで情報を売っている場面に出くわした時に「ネット通販対応や電子化してより多くの人に読んでもらう場を形成した方がより効率的なのでは?」となんとなくソワソワとした気持ちになることが増えてしまっている。
その中で、そういったコミュニティの様子をなんとなく観測しているとイベントの中のみで紙媒体の本の販売を行う方がより情報の機密性が高まり参加者同士で内容を楽しんだり、コミュニケーションを深める機能があるように感じられる。(ただネット通販・電子化することによって起こるリスクを未然に防いでるだけかもしれないけれど)
ただ、自分の場合はネット寄りの志向のせいなのか「その情報が公開可能のものであるならば、できるだけより多くの人に見られる場で公開していった方が面白い」と考えがちでもし今後もイベント向けに同人誌を個人制作する機会があるならば、ほぼ同時のタイミングでBOOTHやnoteで公開していく手段を進んで取っていく勢いでいる。
(今度技術書典で出す本も、イベントで紙の本を売りつつ電子版も同時販売する方向にしたい気持ちがかなり強い)
そのようなネットへの公開志向が強い人はITエンジニア界隈になんとなく多い気がしていて、OSSコミュニティの発展が関わっているのだろうかと理由を考えたりもするけれど、まだハッキリとは分かっていないので誰かと深く話したい気持ちもある。
即売会の種類によって文化圏はかなり異なってきそうなので、もし東京に行って即売会に立ち寄ることが増えたなら、様々な界隈の人から意見を聞いてみたい気もしている状況です。
自分の中の気持ちとして、「紙媒体を経由して情報を表現することも楽しいけれど、やはり電子媒体経由の情報も価値がある場面は多いはず」というのが根本にあって、「紙か電子か」で二極化できる話では到底ないんだろうなと思っている。
また、この記事では「情報を売る側」として紙と電子の双方の力について主に考えているけれど、買う側になった時目線でも語れる話が多すぎて、すぐに答えが出なそうな気がしている。
(とりあえずのところ、技術書とマンガに関しては電子で買って通勤中や就寝前の時間にiPadやiPhoneでだらだら読む体験が大好きです)
そのように、答えは見つからないけれどその違いに対してもっと考えていきたい気持ちが年々と膨らんでいる状況でした。