桐生あんずです

日常やプログラミングについて書いています。

世界性の健康デーなので性にまつわる講演会に行ってきた話

先日、「性と神話」というセクシュアリティ系の講演会に行ってきました。

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9/4は世界性の健康デー(World Sexual Health Day/略称:WSHD)とされていて、性の分野の国際研究者組織である”性の健康世界学(WorldAssociation forSexual Health/略称:WAS)”が2010年に制定した記念日らしいです。

普段見過ごしている「性の健康」を改めて考えて推進する日とされているとのこと。

 

そのような記念日が制定されている9/4に合わせて、世界性の健康デー2016実行委員会が主催されたイベントがこの講演会です。

 

そこでは、4人の方がそれぞれ専門的なトピックに合わせて講演をしてくださりました。

とりあえず適当にレポートしていきますが後半になるにつれ生々しい話がどんどん出てきますのでそれが苦手な人は注意してください。

 

最初の方は京大の院生の方で、「性と神話」について語ってくださりました。

神話と言っても、ギリシャ神話などの古代神話の話ではなく、「信じられているけれどそれに足る根拠のないもの」といった語法で使われている神話(例:エレベーター安全神話 )という言葉を用いて性に関する事柄を説明していくという話でした。

 

ひと昔前は、ロマンティックラブイデオロギー(恋愛→結婚は直接結びついているといった幻想)や男性らしさや女性らしさを押し付けられるといったジェンダーバイアスが根拠がなかったとしても神話として信仰されていて、『恋愛→性愛→結婚→生殖』といった流れを支えており、恋愛結婚というマジョリティーの人々が理想とするような至上の現実に駆り立てる加熱型の神話として顕現していたと述べられていました。

ですが、現代社会において『恋愛→性愛→結婚→生殖』の流れは分離するようになり、かつ性の多様性が認知されるようになったのでそのような神話は解体されたとされています。

(個人的にはそういった思想を持った方々は依然としているので完全に解体されきってはいないと思いますが、昔よりは緩和されたとは自分も思います)

 

既存の神話は権威喪失され、新しい神話が生まれ始めていることを述べられていました。

具体的に説明すると二次元コンテンツやアイドルといった「理想化された性」が信仰されるようになり神話となっているとのことです。要するに現代のオタク文化の台頭を示しているのだと思います。

さらに具体的な神話名をあげると、

処女厨

•バブみを感じてオギャる

•モンスター娘

この言葉だけ見るとバラバラだなあと言う感じですが、総じて言えるのはデータベース的に消費されるという所謂「シチュエーション萌え」や「属性萌え」といったコンテンツを上げています。

彼は東浩紀が『動物化するポストモダン』で述べられていたデータベース的消費についての事柄を引用されていて、(長くなるので詳しいこては省きますが)今の若者は連続的なストーリーが存在する物を消費するよりかは、上であげるようなシチュエーションや属性といった個々のコンテンツを消費し続けていることを述べられてました。

そういった『神話』は、一昔前の人々を恋愛意欲に駆り立てる加熱型の神話ではなく、仮想的な構築物であり至上の現実から逃避させる冷却型であると主張されていました。

最後に、今の若者は、恋愛の現実的な面に幻滅しながらも現実へと還るか、おたく的コンテンツである「神話」に陶酔し現実逃避するかの選択を強いられているという話で終わりました。

 

長文になりそうなのであまり深い言及は抑えますが、確かに「理想化された性」の存在は神話的存在とも言えるだろうなと思います。また、それは2次元に限らず、現実の恋愛においても言えることだと思いました。(好きになった相手や憧れの感情を持った相手を勝手に自分の中で理想化し実際の本人からは大きく乖離させてしまうことも「神話」と言えるかもしれません)

 

人間は無意識下の中にあっても神話に頼りながら生きていく生き物なのかもしれません。知らんけど。

 

2人目、3人目の方々は有名な医療研究者の方で、コンドーム•ピルなどの避妊具の存在意義について語ってくださりました。正直に言ってしまうとこの講演会の中でこのお二人の話が個人的に聞いてて1番楽しかったです。自分の知らない話もたくさんあって勉強になりました。

 

お医者さんなので堅い方かなあと思っていましたが実際はとてもフランクな方たちで、セックスについて楽しく語っていてシュールながらも面白かったです。

 

彼らのスタンスは、「避妊することを強制するわけではないけれど、避妊したいのならこうするべきだよ」といったもので、

自己の正義はあるけれどそれは他者に強要するつもりはないといったもので、ジェンダー系の話題になるとどうしても起きてしまうちょっとめんどくさい質問が来た際も「それはあなたの思想の自由であるし私から批判する事はしません」とのようにサラッと述べていたのが印象的でした

 

セックスの問題性を上げられていた際に印象に残ったのは「たとえ危険であったとしても、ついセックスをしてしまう人はただ単純に快楽を欲しているわけではなく、自己肯定感が低いがためにセックスすることで得られる他者からの承認が欲しい人です」という主張でした。

その主張では現代社会の生き辛さの背景にも述べられていて、居場所がない人や他者との関係性を求める人ほど、強い繋がりを得るために不特定多数の他者とのセックスを求めてしまうのだとか。

この考え方には大変同意ですし、ただセックスに対して快楽だけではなく、心理的な問題についてちゃんと述べられていたことにこの道のプロなんだなあと感心させられました。

 

最後に、講演者の方が「性に関しての話題はどうしてもタブーになりがちですがいずれはコンドームに対して寛容な社会にしたい」とおっしゃられていて目の前にいた聴講者の女性にコンドームを配られていてなんだかすごい光景でした。(女性側も「コンドーム欲しいです」と返答されてもらっていたので決して強要したわけではないです)

ちなみにパンフレットにもコンドームは入っていたし、世界性の健康デーだからかもしれんけどコンドーム尽くしすぎる。

 

講演が全て終了した際には、抽選景品会が始まりました。

正直、インパクトに関してはこれが1番デカかったです。

主催者であるらしい司会のお姉さんがイキイキとしてとても可愛らしかったです。ホリィセンの知り合いの方っぽかったので、終わった後にちょっと話しかけてみてもよかったなと今現在後悔してます。

 

あんまり生々しく述べるのもキツイのでマイルドにお伝えしたいと思いますが、年齢性別関係なしに、当選した人順に大人のおもちゃが景品譲渡される光景はなかなかにシュールです。

TENGAエッグが老夫婦に譲渡される場面とか個人的に記憶に残ってます。

中にはかなり高額な大人のおもちゃが譲渡されていてあれ無料で貰えるのはかなりコスパ良いよなあと眺めてました。

ちなみに私は当たらなかったです。というかもらってしまうと置き場とかに困るので当たらなくて良かったのかもしれません…。

 

横のオタクがイロハ(知らない人は調べよう!)をもらっていて「自分では使えないからね 友達にプレゼントしようかな〜」とボヤいていて、心の中で『それは乳首に当てるとかにも使えると思うから自分で使ってもいいと思いますよ』とアドバイスしました。さすがに言葉には出してませんよ。

 

ここまで性のネタに関して開放的な場に来ることはあまりなかったので新鮮な場だったなあと思います。

普段はタブーになりがちな性の話題ですが、この場に来たことは少なからず性に関しての興味があることは明らかですし、リラックスできる良い場だったなと思います。

様々なことを知れたり、面白い体験ができたので行って損はなかったと思いますしこういった性に関する講演にまた行けたらな良いなという気持ちです。

以上そんな感じのレポートでした。