桐生あんずです

日常やプログラミングについて書いています。

『この世界の片隅に』感想(微妙にネタバレあります)

今週は、『この世界の片隅に』がついに公開されたので月曜日に1回目、その後すぐに原作を買って読み、木曜日に2回目を見に行ってきました。

 

京都では、洛外にあるイオンシネマ桂川でしかやってないということにまず驚きました。

普段映画を見るときに利用する京都駅のイオンにあるTジョイ京都や河原町にある河原町MOVIXではやっていないのです。予告はやってたのになぁ。

 

とりあえず思った事を書いていきます。

 

能年玲奈は最高

 

この映画を見ようと思った動機は、まず能年玲奈さんの声が聴きたかったからというのがあるんですが、映画が始まって彼女が演じるすずさんの声が聴こえてきた瞬間に目頭が熱くなりました。

ああ、能年玲奈が演技をしている〜〜〜〜!!正直未だにあまロス(能年玲奈主演、2013年の朝のNHK連続ドラマ『あまちゃん』が終わって喪失感を覚えている人達のことです)にかかっている人間にとっては、まずこの瞬間で涙が出てくると思うんですが、どうなんでしょうか。

能年玲奈ちゃんの演技を噛み締めているうちに分かることがあります。この映画の中での能年玲奈の演技は、「広島生まれで呉にお嫁に行ったすずさん」であるけれど「北三陸の天野アキちゃん」では絶対にないのです。

声質は一緒なので、劇中の彼女がとある物事に怒り出すシーンなどはあまちゃん25週目145回で、アキちゃんが北三陸の人達にお座敷列車のイベントを「真剣にやってもらわないと困るんだ」と本気でキレるシーンのときの演技を彷彿とさせました。

でも、それは「天野アキ」の怒りであって、劇中の「北條すず」の怒りは、形容が全く違うんです。

声が同じなのに、こんなに違うものになるのかと思いました。

劇中で、能年玲奈が演じるすずさんは様々な表情を見せてくれます。

ちょっとおとぼけな女性で可愛いなぁと思ったら、周作さんとキスするときはほんと色気があってびびる。これに関しては演出の方がなせる技だと思います…。

あんまりネタバレをしたくないので言えませんが、幼馴染の水原さんとの関係性も好きです。周作さん演じる細谷佳正さんや水原さんを演じていた小野大輔さんって優しい演技をする時は本当に優しい声質になるなあと感じました。観てるこっちまでドキドキしてしまう。

 

■徑子さん本当に可愛い

 

周作さんの姉であり、すずさんの小姑にあたる黒村徑子さん。初登場時は、ちょっと「いけず」なお姉さんという印象を受けますが、彼女のバックグラウンドを知っていくうちにどんどん好きになりました。カットされてしまった原作のエピソードでも本当に可愛くて優しい人なんだなと分かります。

彼女はすずさんの事は嫌いではないんですよね。後半になっていくうちに、すずさんと徑子さんの関係性はすごく特別なものへと変わっていき、「これは百合なのでは…」と百合センサーがガンガン反応していました。

彼女の雰囲気や生き様は、全く被るとも言えませんが、ちょうどあまちゃんの後にやっていた朝ドラの「ごちそうさん」に登場する、主人公のめ以子さんの小姑である和枝さんを思い出しました。

彼女も、かなり不幸な過去を背負う女性ですがそれでも淡々と生き、主人公のめ以子に人生の教訓を植え付けていきます。

この2人を見ていると、昭和のツンデレ小姑って本当に萌えでしかないよな…と感じてしまいます。

原作未読の一回目の時でも、徑子さんが出てくるシーンは印象深く、泣いてしまうシーンはかなりあったのですが原作を読んだ二回目は更に心を締め付けられ、徑子さんが大好きになってしまいました。

 

■戦争は確かにテーマの1つでもある。でもメインテーマはやはり「日常」なのである。

 

第二次世界大戦時の呉が舞台であることもあって、すずさんたちの生活は戦況が悪化していくごとに捻じ曲げられていきます。

だけど、劇中では「辛い」「悲しい」といった感情が過度に表現されることは絶対にありません。

「それでも生きていかなきゃならんのです」と、毎日すずさんたちは家事をやり、周作さんたちは仕事に出かけて行きます。

この世界の片隅に」の魅力は、声優さんたちの演技や、素晴らしいキャラクター像も関わっています。

だけど、この物語の本質的な魅力は淡々と描かれる「日常」だと思います。

この作品は、感情に直接訴えてくるような話の造りをしている訳でもないのに、見ているとなぜか涙が流れてきます。

すずさんたちが淡々と生活をしているだけなのに、不思議と心に訴えてくる何かがあるんです。

ネタバレ的な話にはなってしまいますが、この物語に登場する人物は全員幸せになる訳ではありません。

物語が進んでいく中で、とある人物があっという間に死んでしまったり、戦争に行ってしまった人に奇跡が起きて生きて帰ってくる訳でもないです。

それでも登場人物たちはその事実のみをただ受け止め、ただ生き続けます。

 

■まとめ

2回目を観終えて、やっと自分の気持ちを文章にできるようになったと思います。

1回目を観たときは、呆然としてしまい泣きすぎて息絶え絶えになりながら帰ってきました。すぐに「原作を買わないと…!」という使命感に駆られ、TSUTAYAで上中下巻を購入し、その3日後には気付いたら桂川にいて2回目を観に来ていました。

あまり書けませんでしたが、劇中では素晴らしい演出が沢山あり、何度も観たいと思わせられてしまいます。たぶん年末までに3.4回目も行ってしまう気がします。そんな映画です。

 

 

最後に言いたいことですが、

 

「京都は早く洛内の映画館でやれ」

 

よろしくお願いします。